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行政

用語解説 -さ行-

 あ行    か行    さ行   た行   は行   ま行   ら行   わ行

シェルター

夫や身近な男性からの暴力から逃れてきた女性のための,一時避難所のこと。女性に対し,居住場所や食事などを提供し,様々な相談に応じるなど,女性に対する支援を行っている。日本では,公的機関として婦人相談所があるが,制約も多く,また民間シェルターも大変少ない。近年,顕在化しているドメスティック・バイオレンスの被害者の一時避難先として,その役割は重要であるが,まだ充分な体制とは言いがたい状況にある。

児童虐待(子どもへの虐待,チャイルド・アビュース child abuse)

親や保護の任にあたるおとなや年長者が行う子ども(満18 歳未満)への虐待を指す。保護の怠慢・拒否(遺棄),身体的虐待,心理的虐待,性的虐待などがあり,継続・反復性があり通常のしつけの程度を超えるものである。1994年(平成6年)に国連の「児童の権利に関する条約」に基づき,虐待の発見と援助の体制を整備すること,虐待を察知・回避するための教育を子どもに行い,子ども自身の権利意識を高めることが課題となっている。2000年(平成12年)に,児童虐待防止法が施行された。

少子化

一人の女性が生涯に生む子どもの数を示す合計特殊出生率が,年々低下の一途であること象徴されるような子どもの数の減少現象をいう。

女子差別撤廃条約

1979年(昭和54年)に国連で採択された「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」のこと。この条約は,女性に対するあらゆる差別の撤廃をめざして,法律,制度だけでなく,各国の慣習,慣行までも対象に含めている。日本では,1980年(昭和55年)に署名を行い,国籍法の改正,男女雇用機会均等法の制定,学校教育における家庭科男女共修の検討などの条件整備を行った後,1985年(昭和60年)に批准した。

女性労働力率

15歳以上の働く女性の割合を示すもので,算出方法は,女性労働力率=15歳以上の女性労働人口÷15歳以上の女性人口(女性労働力人口=就業人口+完全失業者数)となる。日本では,これをグラフに描くと,20~24歳でピークを迎え,出産・育児期に低下し,40歳代で再び高くなるというM字型の形を描くことから,M字型カーブ(就労曲線)とも言われる。これは日本や韓国など固定的な性別役割分担意識の強い国に独特の傾向で,欧米諸国ではほぼ台形に近いカーブを描く。また,就業を希望する人を加えて算出した「潜在的労働力率」を見ると,M字のくぼみがほとんどなくなることから,結婚・出産・育児の時期においては,就業希望をもちながら,就職できない女性が多いことがわかる。

女子差別撤廃委員会(CEDAW)

女子差別撤廃条約の実施に関する進捗状況を検討するため,同条約第17条に基づき設置された委員会。締約国により選ばれた,徳望が高くかつ同条約の対象とされる分野において十分な能力を有する23人の個人資格の専門家により構成され,締約国が提出する報告を検討することなどを主な機能としている。

女性センター(男女共同参画センター)

都道府県,市町村等が自主的に設置している女性のための総合施設。「女性センター」「男女共同参画センター」などの名称のほか,通称で呼ばれているものもある。また,公設公営や公設民営だったり,女性センターのみの単独施設や他の機関との複合施設だったり,その運営方式や施設形態は,様々である。女性センターでは「女性問題の解決」「女性の地位向上」「女性の社会参画」を目的とし,女性が抱える問題全般の情報提供,相談,研究などを実施している。「配偶者暴力相談支援センター」に指定されている施設や配偶者からの暴力専門の相談窓口を設置している施設もある。

女性のチャレンジ支援

2002年(平成14年)1月開催の男女共同参画会議において調査審議を行い,閣議決定された政策。この意見の中では,雇用,起業,NPO,農業,研究,各種団体,地域,行政,国際などの様々な分野において,意欲と能力のある女性が活躍できるよう,各分野ごとの支援策をまとめるとともに,積極的改善措置の推進,身近なチャレンジ事例の提示,チャレンジ支援のためのネットワーク形成,女子学生・女子生徒へのチャレンジ支援等の重要性及び内容について言及している。(1)政策・方針決定過程に参画し,活躍することを目指す「上」へのチャレンジ,(2)起業家,研究者・技術者など従来女性の少なかった分野に新たな活躍の場を広げる「横」へのチャレンジ,(3)子育てや介護などでいったん仕事を中断した女性の「再チャレンジ」の3つに分け,これらを総合的に支援していくことの重要性や,仕事と子育ての両立支援を充実していくことの意義も述べられている。

ストーカー規制法

正式名称を「ストーカー行為等の規制等に関する法律」といい,平成12年(2000年)11月から施行された。この法律により規制されるのは,「つきまとい等」と,それが同一の人に繰り返し行われる「ストーカー行為」である。「つきまとい等」の定義は,特定の人に対する恋愛・好意感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で行う(1)つきまとい・待ち伏せ・押しかけ,(2)監視していると告げる行為,(3)面会・交際の要求,(4)乱暴な言動,(5)無言電話・連続した電話・FAX,(6)汚物などの送付,(7)名誉を害すること,(8)性的羞恥心の侵害,と規定されている。しかし,規制の対象が恋愛・好意感情に基づく行為に限定されていることや警察の対応等について,問題を指摘する声もあがっている。

世界女性会議

1975年の国際婦人年以降,5~10年ごとに開催されている女性問題に関する国際会議。第1回(国際婦人年女性会議)は1975年にメキシコシティで,第2回(「国連婦人の十年」中間年世界会議)は1980年(昭和55年)にコペンハーゲンで,第3回(「国連婦人の十年」ナイロビ世界会議)は1985年(昭和60年)にナイロビで,第4回世界女性会議は1995年(平成7年)に北京で開催された。

セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)

相手の意に反した性的な性質の言動で,身体への不必要な接触,性的関係の強要,性的なうわさの流布,衆目に触れる場所へのわいせつな写真の提示など,様々な態様のものが含まれる。
男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会報告書「女性に対する暴力についての取り組むべき課題とその対策」(平成16年3月)では,セクシュアル・ハラスメントについて,「継続的な人間関係において,優位な力関係を背景に,相手の意思に反して行われる性的な言動であり,それは,単に雇用関係にある者の間のみならず,施設における職員とその利用者との間や団体における構成員間など,様々な生活の場で起こり得るものである。」と定義している。特に,雇用の場においては,「職場において行われる性的な言動に対する女性労働者の対応により,女性労働者がその労働条件につき不利益を受けること又は性的な言動により女性労働者の就業環境が害されること」とされている。

積極的改善措置(ポジティブ・アクション)

過去に形成されてきた社会的・構造的な差別によって,不利益を受けている人々に対し,実質的な機会均等を確保するために,一定の範囲で特別な機会を提供する暫定的な特別措置のこと。改正雇用機会均等法で企業の積極的改善措置に対する援助を規定するとともに,男女共同参画社会基本法では,「(男女共同参画に関し)男女間の格差を改善するため必要な範囲内において,男女のいずれか一方に対し,当該機会を積極的に提供することをいう。」と定義し,国や地方公共団体は,この措置を実施する責務を有するとしている。

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