降雪に対する技術対策について
雪害リスクに備えるとともに、事後対策にも留意しましょう。
1.パイプハウス及び鉄骨ハウス等
雪害の対策として以下の点を踏まえ、施設及び施設内作物の保護と作業の安全確保について対策を行う。
【事前準備】
(1)各対策ともに、降雪後の対策等を迅速にできるよう準備を進めておく。
(2)降雪が予想される場合は、屋根被覆資材の表面に雪の落下を妨げるような突出物がないか事前に点検し、防風ネットや外部遮光資材等は撤去する。
(3)外張り被覆資材のたるみや破れは雪の落下を阻害するため、降雪前に補修する。また、パイプジョイントや筋交い、補強パイプの外れや緩みを確認し、異常が確認された場合は速やかに補修する。さらに、ハウスバンドのねじれや緩みを修正しておく。
(4)暖房機を利用している場合には、燃油を満たしておくとともに、電源、配線等についても、正常に機能するか確認を行う。また、非常用発電機を所有している場合には、暴風雪等による停電に備え、発電機の試運転等により動作確認を行う。
(5)積雪が多いと予想される場合は、応急補強用の耐雪支柱を取り付ける。耐雪支柱を使用する場合は、主骨組材の棟部及び棟部の中心に対象となる位置に取り付けると効果的である。なお、補強材は予め利用しやすい場所に保管しておく。
(6)積雪が多いと予想される場合は、ハウス内の低温が続くので、トンネルやべた掛けを追加し、施設内作物の低温障害・枯死を防ぐ。
(7)積雪が多いと予想される場合は、除雪や融雪により大量の融雪水が発生するため、ハウス内に流入しないように排水路の整備や清掃などの対策を講じておく。
(8)積雪を防ぐためのハウスへの散水は、積雪当初から行う場合は有効であるが、積雪後に行うと水を含んで重量が増大し、施設倒壊の危険性があるため、積雪後は行わない。
【積雪時の処理】
(1)降雪前に加温器等を起動し、積雪が降雪始めで積雪がほとんどない時点までは、安全を確認したうえで除雪作業を行う。速やかに雪下ろしを行うことで、被覆資材が緩み、雪が落下しにくくなるのを防ぐ。また、古ビニルは、雪の滑りが悪く倒壊に至る危険性が高いので、優先的に雪下ろしを行う。しかし、積雪が進んでからの作業は危険なため、施設内への立ち入りは控える。
(2)暖房機等が設置されている場合は、内部被覆(二重カーテン)を開放したうえで可能な範囲で施設内の室温を高めることで、屋根の雪の落下を促進する。
(3)暖房機等が設置されていない場合は、施設の気密性を高め、内部被覆(二重カーテン)を開放し、地熱の放射により室温を上昇させることで屋根の雪の落下を促進する。
【積雪後の処理】
(1)降雪が収まり、施設の安全が確認された時点で確認、除雪作業等を行う。
(2)日照や風の影響等で屋根の片側に積雪が偏ると、ハウスに不均等に力が加わり、倒壊の危険性があるため、十分に注意する。
(3)落下してハウスの側面に堆積した雪は、屋根の雪の落下を妨げ、施設の側壁に圧を加えて倒壊させる危険性もあるため、なるべく速やかに除雪する。また、速やかに除雪できない場合には、よう燐や融雪炭カル等の融雪資材を使用し、雪解けを促進させる。
(4)施設倒壊の恐れがなくなったことを確認のうえ、施設各部の損傷や緩み等を点検する。
(5)施設の損傷や被覆資材の切断等を早急に修復し、室温の確保に努め、低温による栽培作物の生育障害や枯死等の被害を防止する。
2.野菜
1.施設野菜(イチゴ、キュウリ、ピーマン、チンゲンサイ、ニラ、コマツナ等)
果菜類では、開花期から幼果期の耐寒性が低いため、不受精や奇形果などの障害を生じやすく、他の時期の低温遭遇は生長点の芯止まりなどの生理障害を生じる場合が多い。
葉物類では、低温遭遇で生育停滞や表皮の剥離、枯死などの障害を生じる。
【事後対策】
(1)被害程度の大きい(ハウスの全壊や半壊)場合は、融雪後、安全を十分に確保してから被覆資材、骨材を撤去し、修復を行う。
(2)被害程度が軽微(被覆資材の破損等)で、作物の栽培が継続可能な場合は、できるだけ早期に施設の破損の補修を行い、温度確保を図る。
(3)施設内に融雪水が浸水した場合は、直ちに排水に努め、湿度の低下を図る。また、根傷みにより草勢が低下しやすくなるため、摘果や早めの収穫で着果負担を軽減するとともに、液肥の葉面散布を行い草勢の回復を図る。
(4)病害の発生が懸念されるので、損傷した茎葉の除去や薬剤散布など、防除対策に努める。
(5)生育初期の作物が被害を受けた場合は、予備苗による植替えや再播種を行い、被害の軽減を図る。
2.露地野菜(レタス、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー等)
冬春野菜の多くは、耐寒性が強く、生育期に寒害を受けることは少ない。しかし、生育の進んだ結球中の葉菜類などは耐寒性が低下するため、細胞間隙や細胞質の水分が凍結すると被害が生じる。
【事後対策】
(1)トンネル栽培のほ場では、早期に除雪を行う。
(2)損傷した茎葉から病害の発生が懸念されるので、雪解け後は薬剤散布等の防除対策に努める。
(3)融雪水の排水に努め、湿害の軽減を図る。また、根傷みにより草勢が低下しやすくなるため、液肥の葉面散布を行い草勢の回復を図る。
(4)生育初期の作物が被害を受けた場合は、予備苗による植替えや再播種を行い、被害の軽減を図る。
3.果樹
多目的防災網、防鳥網、雨除け施設の収納やビニルの除去が済んでいない場合は、速やかに収納、除去する。
また、立ち木栽培等で積雪による骨格枝の折損、果樹棚の倒壊が想定される場合は、支柱などを設置して補強する。なお、多目的防災網展張後の開花期前後に降雪が予想された場合には、再度収束して倒壊を避けることも検討する。
【降雪・積雪中の対策】
安全が確保できる範囲で樹園地を見回り、除雪を行う。園芸用施設を使用している場合は、施設内の温度を高め、積雪の自然落下を促進するほか、ハウスの屋根の補強材や支柱等を設置する。
また、安全が確保できる範囲で、屋根の雪下ろしや施設周辺の除雪を行う。施設の破損、倒壊等が生じた場合には、安全に留意しつつ、早急に修復を行いハウス内の温度確保を図る。
【事後対策】
積雪が多かった場合、数日間の晴天が見込まれる時期を見計らい、融雪剤を散布する。
安全の確保に留意しつつ、樹園地を見回り被害状況を確認し、樹体の損傷の程度に応じて、ボルト等を使っての損傷部の癒合や、改植を検討する。損傷した樹体は病害虫の被害を受けやすいので、発生動向に十分注意し、適切な防除に努める。
4.花き(施設花き全般)
【事後対策】
(1)被害程度が大きい(ハウス全壊や半壊)場合は、融雪後、安全を十分に確保してから被覆資材・骨材を撤去し、修復を行なう。
(2)被害程度が軽微(被覆資材の破損等)で、作物の栽培が継続可能な場合は、できるだけ早期に施設の破損の補修を行ない、温度確保を図る。
(3)施設内に融雪水が浸水した場合は、直ちに排水に努め、湿度の低下を図る。また、根傷みにより草勢が低下しやすくなるため、液肥の葉面散布を行い草勢の回復を図る。
(4)病害の発生が懸念されるので、損傷した茎葉の除去や薬剤散布など、防除対策に努める。
(5)生育初期の作物が被害を受けた場合は、予備苗による植替えや再播種を行い、被害の軽減を図る。
問い合わせ先
このページに関するお問い合わせは農業政策課です。
役場本庁舎 2F 〒311-4391 茨城県東茨城郡城里町大字石塚1428-25
電話番号:029-288-3111(代) ファックス番号:029-288-2113
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- 2022年2月10日
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