常北町勢要覧 1989(平成元)年 2月
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■■ 新たな歴 つなぐ 宝瞳院:両界蔓茶羅 文化財は、町が歩んできた歴史そのものを語る 財産です。常北町では、文化財の保護・指定に努 めています。 薬師寺は大同元年(八〇六)、伝教大師の草創。 坂上田村臍呂が奥夷征討の際に、この地に宿泊し、 鎮護国家のために創建したと伝えられる古刺です。 本尊の本道薬師如来垂像と日光・月光の南陽侍立 像は、国の重要文化財に指定されています。 泉山喜憧院法厳寺は、応永三年、働空上人の草 創によるもので、当時は中本寺一等格院真言宗京 都報恩院禾で当地方第一流の真言道場でした。 町指定文化財の両界星茶羅は真言密教の宇宙観 を表したもので、金剛界鼻茶経と胎蔵界里奈羅の 一対から成り、大日如来を中心に脂蔵界は四一四 尊、金剛界は一四六一体の菩薩や仏が図式的に描 かれ、室町末期から安土桃山期の作といわれます。 小桧寺は、天平一七草(七四五) 行基によって 白雲山頂に開削され、白雲山晋明院と号しました。 その後、平安末期に小松内大臣平量感公の遺骨を 埋葬して山麗に移し、白雲山晋明院小桧寺と寺号 を改めています。寺宝の木造浮彫如意輪観音像は 国指定の重要文化財で、重盛の念持仏だとされて います。縦八皿、横七、三Cm、厚さ一、三珊ほど のどヤクダン材に浮彫りされた小品ですが、手法 は精緻を極め、端麗な表情に藤原期の作風がうか がえます。観音堂の鈷彫観音像は、行基作と伝え られる一木一刀蛇彫りの一一面観音で、唐門とと もに町指定文化財になっています。

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