常北町勢要覧 1983(昭和58)年 3月
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とおーいむかし普のこと、そーう、舌代といわれる時 代のこと。奈良時代のはじめに書れた「常陸(ひたち)風 土記」那珂郡の巻という書物にでている藷だが……。 茨城の里の北に高い丘があった。その丘を「くれふし 山」と呼んでいた。その山には、仲の良い兄と妹のこ人 が住んでいて、兄の名をヌカヒコ、埠の名をメカヒメと いった。 メカヒメはものしずかなおとなしい娘で、いつも部屋 の中にこもっていた。そんなある日の夜のことだった。 見知らぬ男がメカヒメの部屋に、そっと忍びこんできた。 その男のいうことには「わたしはいつも、あなたのこと を思いつづけてきた。でも、日に日につのる思いをとげ るため、あなたと結婚をしたい」と、いってメカヒメに 結婚をせまった。それ以来、その男は夜おとずれ、朝に かえっていった。夜ごとおとずれるその男の情に、メカ ヒコは殊にそわせることにした。 夫婦になってしばらくすると、その男は婁をみせなく なり、メカヒメは子どもを産んだ。だが、それは小蛇だ った。小蛇はひるの間はロをきかず、夜になるとメカヒ メと親しく藷をした。このためメカヒメもメカヒコも驚 きあやしんで、神の子ではないかと思うようになった。 そこで小銭をさかづきに入れて、神に安置したが、一夜 でさかづきからあふれでてしまった。しかたがないので 大きなかめに入れておいたが、また、あふれでてしまっ た。そこで、メカヒメは小蛇にいった。 「お前のからだは不思議であるから、神の子であろう。 わが家で奉っことはできない。父の処へいきなさい」と、 いった。小蛇は悲しみ泣きながら、 「つつしんで母の命令にしたがいます。ただ噸いがl つあります。l人旅ではさびしいので、ともをl人つけ てください」と、メカヒメは、 「わが家には母と叔父の二人ぐらし、お前につけてあ 一一層 一山叩 げる人はいません。」 と、いうと小蛇は大へんに怒り、メカヒコを致して天に 昇ろうとした。l瞬、メカヒメは驚き、近くにおいてあ ったかめを殺げつけてメカヒコを救った。小味は神の怒 りにふれて天に昇るカをとりあげられてしまった。天に 昇ることのできなくなった小蛇は、そのままくれふし山 の峰に住みついたということだが……。 片岡村というところには、小蛇を入れたかめがあり、 その子孫は社をたててかめを怒った。それ以来、その村 にはお祭りが絶えないということだ。ナ二?その村はど こかって、片岡村というのは定かではないが・‥…浅膚山 の近辺ではなかろうか? gβ

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