広報かつら No.344 1999(平成11)年 1月
7/16

ほにゅう うさぎは、ウサギ科の晴乳 るい 類です。うさぎというと耳が 長く、目が赤く、毛は白、ピ ョンピョンと跳ねる動物を思 い浮かべますが、これはわた したちがよく見る日本白色種 で、ほかにも多くの種類がい ます。毛が白黒(または白茶) でパンダウサギとも呼ばれる ダッチ、耳の下がったロッブ イヤー、耳の短いピーターラ ビットなどです。 うさぎが家畜化されたのは 十二〜十三世紀ごろといわれ、 その後、ポルトガルの航海者 が食糧の補給源として各地に 広めたとされています。第一 次世界大戦のころはヨーロッ パ各地で食肉用、毛皮用にさ かんに利用されました。日本 では日清、日露戦争のころか ら、日本白色種が大量に飼育 されるようになりました。 うとL 今年は卯年。十二支の四番 目のうさぎ年です。卯は東の 方角、また「卯の刻」といえ ば、午前六時ごろを指します。 ( 明治中ごろから 日本でも飼育 今/年/は/卯/年 うさぎの話は、古くは「古 事記」に発しています。うさ ぎが海の上に並んだワニザメ いなば をだまして因幡の国に渡ろう とします。しかし、最後にワ ニザメの怒りを買ってしまい、 皮をはぎ取られて苦しんでい るうさぎをポ鄭朝鮮が救う だれでも知っているうさぎ というお話です。 の話といえば、「うさぎとカ メ」です。うさぎとカメが向 こうの山まで、どちらが先に 行けるか歳争します。早いう さぎは、カメがのろいのを見 て途中で油断して昼寝をして しまいます。その間にカメが ゴールするというお話で、地 道に努力すれば必ず成功する うさぎを数えるときに、一 匹、二匹と言わずに一羽、二 羽と言います。これは、昔、 獣肉を食べるのを忌み錬って いた時代に、鳥のような数え 方をしてうさぎを食べていた からでしょう。うさぎは貴重 なたんばく源だったのです。 ( 悪役や英雄 さまざまな役回り ′tヽ という教訓です。 こうした話は、動物競争物 語として各国にあります。た だ勝つ方の動物がカメではな く、ハリネズミ、カニ、ヒキ ガエル、ナメクジだったりし ます。負ける方もうさぎだけ ではなく、ウマ、キツネ、ヒ ョウ、ゾウなどさまざまです。 もう一つ、日本の昔話で有 名なのが「カチカチ山」です。 この諸にはちょっと残酷なシ ーンもあるので、最近ではあ まり語り継がれていないよう です。 ……タヌキにおばあさんを 殺されてしまい、嘆き悲しむ おじいさんに同情して、うさ ぎがあだ討ちをします。うさ ま≒、 ぎはタヌキを薪拾いに誘い、 タヌキが背負った薪にカチカ チと火打ち石で火をつけてや けどをさせます。さらに、タ ヌキを堀船に乗せて川に沈め てしまいます。 うさぎの復讐という筋書き ですが、知恵が勝利をもたら すということと、弱きを助け 強きをくじく勧善懲悪の教え とされています。 うさぎは身近な動物のわり には、親しまれていることわ ざは少ないようです。 lつさぎ」 「兎死すれば、狐これを悲 しむ」 「狐死して兎泣く」は、 同類の死を悲しむということ。 きいもん 「兎に祭文」は「馬の耳に念 仏」と同じ意味で、言っても 無駄なこと。「兎の上り坂」 ゝつさぎは 悪役だった り英雄だっ たり、だま したりだま されたりと、 りをこなしています。 ( ′l\ よく知られている 月の餅つきうさぎ いろいろな役回 は、最も得意とする場所で力 うさぎぴょうほう を発揮すること。「兎兵法」 は生兵法のことで、役に立た ないこと。どのことわざもふ だんあまり聞きません。 よく知られているうさぎと も.ち いうと、月の餅つきうさぎで しょう。平成十一年用の寄附 金付・お年玉付五十円郵便切 手および年賀五十円郵便切手 の意匠は、一「佐原張り子」 の 餅つきうさぎです。これは、 千葉県佐原市の手張りの民芸 品です。八十円の方は、「山形 張り子」の玉乗りうさぎです。 (7)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です