広報かつら No.312 1996(平成8)年 5月
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「温泉とふるさと 体験のまち」 清水町は、和歌山県北東部に 位置し、三方を撫讐向600m〜 900m級の山々に囲まれた林 野率90%、面積195・96撼 の山村である。有田川に沿って 26の集落が点在し、人口約56 00人、気候は温暖である。 吋の基幹産業は、以前は林業 と稲作・果樹栽培が中心であっ たが、近年は高冷地野菜・サン シヨウ・花栽培等の産地化に取 り組んでいる。 また、「しみず温泉」開発以 来、都市と山村との交流施設の 整備に務め、観光客が飛躍的に 増加している。 『ふるさと創雀』事業の一環 として、平成七年度も 「人材 育成事業」が行なわれました。 参加者、視察地の概要感想等 を掲載します。 国視察地(平成八年二月二十 六日〜三月一日) 和歌山県 清水町 奈良県 斑鳩町 三重県 青山町 国視察地概要 農林業の衰退する中で過疎対 策、特に若者の定住促進を図る ために「しみず温泉」と「ふる さと体験の町しみず」をキャッ チフレーズに山村と都市との交 流をはかり、各交流施設の整備 に務め平成3年11月に「清水町 ふるさと開発公社」を設立した。 公社では現在職員35名、雇40名 を雇用している。 今後は、引き続き「温泉と ふるさと体験のまち」づくり を中心に、スポーツ施設や豊 富な自然を生かした森林公園・ オートキャンプ場等の野外施 設を整備し、通年型・滞在型 の総合的なレジャーが楽しめ る山村リゾート地を建設し、 若者の定住促進を図りたい。 とのことである。 平成6年度の観光客は、35 万人であったが夏場に集中し 冬期にはない。何回も訪ねて 来るような施策を。と話して おられた。 若者が定住するには、次の 二点が重要である。 一、生活環境を整備すること 二、現金収入が図れること 昭和60年に農協が中心となっ て、地域定住促進事業として、 /- 農産物加工施設を建設し、山 菜やサンシヨウを軸とした生 産加工・販売を行なっている。 加工施設といっても家内工業 程度であるとのこと。 清水町では、サンシヨウの 生産拡大と高品質生産を進め、 販路拡大と価格安定に努めた。 生産者組織の活発な活動が認 められ、第24回日本農業賞特 別賞を受賞した。 清水町のサンシヨウは、関東 のとは異り、木に刺がなく房も 大きく、品質も非常によい。 サンシヨウは、熟した実の 皮だけを手作業で取り乾燥し て、主にS・Bとハウス食品 会社へ出荷している。サンシヨ ウ栽培は約30baで年間販売額 は約二億円とのことである。 農産加工所では、サンシヨ ウの他に、田舎コンニャク・ ユズ酢・山プキ佃煮・サンシヨ ウ佃煮 (雄花)。進物用シイ タケ・ユズ果皮等を扱い、販 売先も、ふるさと.開発公社 関連施設の他に、ウナギ加工 業者や西武百貨店・郵パック と広範囲にわたっている。 ○高齢者生産活動センター ○農林産物振興センターを 見学する。 「歴史と文化が くらしの申に息づくまち」 斑鳩町は、奈良県の北西部に 位置し東西4・4血、南北6・4 血、面積14・亜撼、人口約29、 000人の歴史の古い町である。 とくに、法隆寺周辺には昔をし のばせる集落があり、格式高い 建築物と都市的な建物が共存す る町として発展してきた。 斑鳩町は、古くは米作りを中 心としていたが昭和30年頃から 宅地開発によって農地が減少し、 高度経済成長期には、大都市圏 への通勤者が増加し、離農・兼 業化が進み、現在もなおこの傾 向がある。 一方、専業農家は、京阪神大 消費地をひか-ろナシ・ブドウ・ イチゴなどの栽培に意欲的であ るものの、現在専業農家は㍊戸 と少なく、今後の農業振興はあ まり期待できない。 古い歴史をもつ斑鳩町は、保 存が叫ばれながら、もう一方で は、大都市と変わらぬ利便性が 求められている。保存と開発は、 この町にとって極めて重要な課 題である。 斑鳩町が進める 「ふるさと創生事業」 メインテーマは「歴史と文化 が暮らしの中に息づくまち」 で 「歴史街道ネットワーク」 と ヽタ ′(\ 「かたらいと安ら.ぎの広場」づ くりである。 ○歴史街道ネットワーク 身近な歴史を知ることにより 郷土愛を育み、さらに健康のた めの散策道として親しんでもら うことを目的に、聖徳太子ゆか りの太子道・平安の歌人が歩い たという業平道・古街道などを ネットワーク化し六つのルート を設定し整備した。 このルートには、石製道棟・ 案内地図坂・説明板を平成七年 までに133設置した。(事業 費は約8、000万円) ○かたらいと安らぎの広場 平成10年を目標に3カ所を計 画している。そのうち「ふるさ と上官遺跡公園は、約64、0 00万円をかけて完成していた。 ○上官遺跡公園 奈良時代の建物群などの発見 や、太子が晩年住まわれたと伝 えられる「葦垣宮」などの歴史 的なことがらに因んだ町自慢の 公園である。 和の広場・歴史休験・親水の 3つのゾーンから成り立ってい た。太子の哲学に因んだ石や清 流、そして四季折々の花が楽し める植物などが印象的であった。 またトイレの柱や瓦までも出 土したものを模したり、往時を しのぶ松並木を作ったり、一幅 ●広報かつら 5月号●●(2)●
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