広報かつら No.272 1992(平成4)年 11月
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よ やっこたこめ ″奴田のお米″ 遠い昔のお話です。 小る 今の陣掛澗に伝えられた古い 時代のお話です。 今は昔、この阿野沢に一人の ち.うしや 長者が住んでおりました。長者 は村一番のお金持ちで、たくさ たはた んの田畑や山を持ち、おおぜい めつかやと の召し使いを雇っておったとの ことです。 この召し使いのことを「弊 L沌[んい と呼んで、その家の主人の言い 什けは何でも聞き、椚婚を流し はたら て主人のために、せっせと働か なければなりません。 この光鄭の「奴」のなかに、 一人の不心称なぉ黙がいて、主 」 二と 人の目を怨んでは仕事をきぼ住 †、 「奴」仲間をいじめたりしました き童きま のいわノヽ 里の人たちにも様々な迷惑をか け、それは、それは、椛疋をは じめとし、「弾の仲間からも、 きら さんざん嫌われておりました。 さらに、祭ろしがって禦とルと してこの光禦を注意する人がな く、本当に因っておりました。 太郎の「詳は、それを良い ふるさとの伝説 風電車金港金砂 そうちよう ことにして、ますます増長し、 のぼせ上がり たいし上う 「儲は、この村のおん大将だい /菓和があるなら出てこいっ/ いつでも相手になってやるぞっ ′・」 と、あたりかまわず餌影をは たらき、時には、贅郎な〞昭を へいき 鮮づけ、あやめることも平気で ▲.麦 振る舞うようになってしまいま した。 村人たちは、この大男の「奴」 を鬼のようにこわがって、学 ぶに 人として近づこうとしません。 やと この大男の 「奴」を雇ってい やさ る長者は、心の優しい大らかな 人でしたが、2警頂のい た 「奴」の僻黙無根の掛る舞いに痛 なや く心を悩まされ、ある夜大男の よよ 「奴」を長者の部屋に呼び寄せ、 きびちJうい 厳しく注意をしました。 ※傍若無人……まわりに人がい ないかのように、自分かって にふるまうこと。 ほう 「おまえは、この私の家に奉 公してからすでに八年、この野 こう おま、えは光鄭の「奴」の中に一鮮 ず の ∵、 じって、はじめは良く働いてく トニと■上「 れた、仕事も早く、炬上げも上 手だった。この私も、そして、 「奴」の仲間たちも、おまえのこ いちもく Lつせき うした実績には、みんな一目お かし・つ いてきた。そして「奴」 の頭と して働いてきたことは、この私 がようく心粒ている8しかしこ ぶりは、一体どうしたのか/…… 仕事はさぼり、「奴」の仲間をい ほ たいどしこと こ二、三年のおまえの態度や仕事 じめ、あげくの果てには、里の ひとツと力いれく 人々にまで鄭雛くの迷惑をかけ て今日に至った。おま又は、こ たいミろ あくき;っ かず刀ず うした怠業・悪業の数々を、ど う考えているのか。人には、そ れぞれ言い分があろう。おまえ が、ここ二、三年そうした掛て はち せつ 罰な態度になったその切ない気 持ちは、この私にもようく分か る。時には酒も飲みたくなるだ ろう。人と収酔もしたくなるだ ろう。 それはそれで良い。おまえの 心の憂さの掛てどころとして、 う この私も雷に見てきた。掠 らといって、人を僻づけ、人様 の迷惑になるようなことをする ことは、この私として、に 沌る 許す分けにはいかない。一日も 早く心を舐め、もとの卦麗なお まえになることを私はる。今 は、この家からおまえを出さね ばならぬが、何年後か分からぬ もど か今り が何軒かは必ずこの屋敷に戻っ て釆てくれよ。これ/この通り だ′」 と、大男の両手をしっかりと 一トこ「て ′▲みだ 握りしめ、涙ながらに、こんこ んと説得する長者の言葉に、さ Lだい すがの大男の奴も、次第に心が にぎ なごんできました。そして握り しめた長者と大男の両手にほ、 しっかりと釦集が握られており ました。 それに気づいた大男の奴は、 あわてて金袋を両手で押し返し、 「旦那様!これはいけねえし こんなお金を郡部できる斬新で はねえ-どうかお引き取りなす ってくださいゾ さしぜ「 「そうじゃない。これは些少で あるが、おまえのこれからの路 鋸の足しにしなさい。くれぐれ も体を大切に、……必ず戻って 釆てくれよ」 長者と大男との手は、かたく ほな かたく握られて放れません。 「… …・分かりました」 なさ はじめて知った、人の情けの 雇かさに、大男の奴は光耀の涙 を流し、やがて長者の家を後に していずこへともなく、去って いってしまいました。 る朝。 大勢の「奴」たちは、大男の 奴の姿が見、妄いので、光献ぎ になりました。奴たちはそのこ とを長者に知らせると、長者は 「去る者は追わない、おまえた ちは今まで通り、働いていただ きたい。必ず心を入れ変えて戻 ってくる。……戻ってくる。そ たの れを楽しみに待とうではないか」 と、解ろに諭し静かれましたD さと その後、何年か過ぎて、不思 議なことが起こりました。 たくさんある長者のたんぼの かたすみに、一か所だけ、どう したわけか稲の育たない田んぼ が現れたのです。人々は、警口 うことなく、 「この田んぼは、あの大男の奴 ∴かだ が反省して、この深田に身を投 げ、前脚を悔い世の中の皆きん にお詫びした田んぼなんだ! 〝私のせめてもの罪ほろぼしに、 この田んぼをお使いください。 ふだんは荒れ田で何も作れませ んが、村の一大事の時にこの田 んぼを舵して稲を作って下さい。 ▲〕く み たくさん実のらしてお報いした い〞との、あの大男の置き言葉の 田んぼなんだ!」 と、言い広がりました。 そしてこの草むらの田んぼを 謹広報かつらI1月号善業(4)業 「あいさつは,まずぽくからわたしから」
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