広報かつら No.271 1992(平成4)年 10月
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ばあ 〝一本杉のお婆さん〃 キー↓しんさま このお話は、阿波山の明神様 くち きと にまつわる里の人々に口からロ へと伝、…れた、世にも不軌許 なお話なのです。 その昔、陣掛此献の北はずれ 今の桂中学校の西側にあるお杜 を、陣掛購ぷ榔鮮と言いますが、 氏子の人々は、お鵬榔髄と隈ん うじこ で氏子たちの、心のよりどころ として、勘く胤僻し続けたお社 やしろ でした。 そのお明神様の西側(黒木診 療所の裏)を首メートルほど行 った遊に、何首年もたったか と思われる大きな杉の木があり ね主- ました。杉の木の根元からは、 きれいな都たい水が尽きること もなく流れております。 う‖しこ 氏子の人たちは、この杉の木 を二本杉】と呼び、その根本 を流れる敵癖を晶奉配Lと言 っていつも、しめ船を警て、 ・ヽ1 斬れを近づけないように心を配 ひるま っておりました。昼間は静かな し沌うへふよる 一本杉周辺なのですが、夜にな ると水の流れる膏が、〝さらさら ふるさとの伝説 凰亀山留金劇滑金砂 さらさら〞とことさらに大きく 吾▼〒えわた 聞こ、え、杉の梢を渡ってくる風 さ真 ちょうわ の書と調和して、何となく淋し いので、ほとんどここを通る人 がありません。 それも、そのはずです。 .可Lき 『哀杉の掛融には、不思議な ほあ お婆さんがいて、毎日神様にお そな 供えするお米を洗っているのだ』 という喫が、人から人へと伝 わっていたからです。 あき 譲る年のことです、秋もだい ぶ深まりつつある十月の判ば、 .◆l・乃 監柵のおじいさんが、大和 (今の酢ぬ此)のある店でお酒 をのみ、列都ほろよい知新で、 この一本杉を通りかかりました。 醗郎の髪たたかい凪が、溜 ほお じいさんの頼をなで、いい軒別 になっていたかと思うと、一本 こ†え 杉の梢の音がゴオーとなって、 おじいさ美はとも言えない 知醇に叡じたのでしょう。 空にはお戯椒が二つ三つ解き はじめました。掛率配の水の音 ち.うわ とこの風の育とが調和して¶サ ラサラ、サラサラ』と、その不 き入 気味さを増しております。おじ いさんは、思わず立ち止まりま した。 杉の木は、おじいさんにおい め は ′てり 用うぐ かぶさるように、夕暮れの空に 黒くゆらゆらと大きく換れてお ります。やがておじいさんは、 恥㌻恐る歩き出しました。風の いちた人 音がヒユウーヒユウと、一段と 高くなり、そして〝ゴーオー〞と の時です。いきなり都たい車で、 カ いう音に変ったかと思った、そ おじいさんの鮮を掛ぜていった のです■し おじいさんは、びっくりして しりもち 尻餅をついてしまいました。や っとのことでき上がり、這う ち人し川 か人《し ようにして鎮守明神の神主さん 」 の家に掛け込みました。 たす 是叡でございます/お助け下 さい′㌧==:‥ただいま、この私が した ……あの一本杉の下を通り抜け ようとしたところ……あの1 裏めかしい郎が恥いたかと思う と、いきなり都たい手のような ものが、……この私の顔をなぜ † て通り過ぎたのでございます。 縦や……桝ろしくて恐ろしくて やっとのことでここまでやって 釆たのでございます。……どう いっしょ か、一緒に釆て見て下さい。お 願いします、放胆中小お囁い致 します。′.このとおりです。′こ ・l か人力L り慕う て と、神主さんの前に両手をつ いてお願いしました。 神主さんは、 『それはそれは、おじいさん、 こ圭 お困りでしたね、しかし……… この世の中にそんなことが/ あるものかね、そ・? とにかく しん 一緒に行って進ぜましょう』 さLき と、言いながら奥の座敷から あや わききし 脇差を手にして、その怪しげな 一本杉のもとへと、行ってみま した。 ′一一--〉 生ぬるい西風は……夜空を突 さ き刺すように立っている一本杉 を捻るがし、ゴIという風の昔 が消えたかと思うと、ヒンヤリ とたい手が神主さんの顔をな ぜたではありませんか。 おじいさんは、 『出たあーつ/』 二Lわ と、大声を出し又も腰を抜か してしまいました。 さすが神主さん、持っていた 隈崇を掛くより早く切り付けま 亀」 した。神主さんの刀には、解か シ仁一. な手ごたえがありました。が、 ・山しき その時から、不思議にも、今ま で聞こえていた風の青も水の流 れる青も、昼間の音となんら変 Lず りなく、静かになってしまいま した。 やっとのことで神主きんは、 おじいさんを途中まで送りとど け一人で帰れるおじいさんの姿 を見届けてから、そのまま家に と二 帰り床につきました。 あく ち蔓こそこに一本杉のところへ行っ てみました。朝霜に滞れた数本 けもの のススキの椿が、刃物のような もので切り取られたまま道にち らけておりました。神主さんは きくや 『ははー、これだなあー、昨夜 の冷たい手の武術は、だいぶ ひとさわ 人騒がせをしたもんだ。この一 め、、わく け↓ 本杉は、決して人々に迷惑をか けるような大木ではない。それ たいせつ さとひと どころか里人たちの大切な水を たきす 絶ゆることなく授けてくれる、 (八ページに続く) ≠大きなI本杉“があったと伝えられている周辺 菜(7)軍謀広報かつら 相月号詳
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