広報かつら No.234 1989(平成元)年 9月
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試(7)試試広報かつら 9月号潔減耗詫※減光※罪業某試凝髄髄属領儲威儀盛儀諷牒牒牒牒牒牒牒襟懐牒 老化を予防する 不老長寿は人類最古の夢の一 つであり、その実現のために様 々な試みがなされてきた。 古代ローマでは、瀕死の闘技 者からでる血が飲まれたし、中 国では呼吸法、食養生、体操、 瞑想などにより仙人になれると 考えられていた。またヨーロッ パでは、大のこう丸をつぶして つくったエキスを注射したり ヨーグルトを食べることが長寿 の方法とされたこともあった。 しかし、これら全てはたいし た効果がなかった。それどころ かわれわれ人間の寿命というも のは、有史以来ほとんど変わら ずに一二〇歳程度なのである。 (平均寿命ではなく、最大寿命 に関して) どうしてこういうことが起こ るのであろうか。現在でも老化 のメカニズムについて全てが 解ったわけではないが、これに 対する答えには「プログラム説」 と呼ばれるものがある。つまり、 寿命そのものが遺伝子に組み込 健康について(そα八) 沢山診療所医師 菊 池 宏 典 まれているために、それを越え ると細胞分裂が不可能になり死 んでしまうという考え方だ。 このことが真実であれば、最 大寿命を延ばすことは不可能と いうことになる。けれども、こ のプログラムが動き出すのは、 遺伝子を複製するときにできる 損傷がある量にまで達したとき に起こるとも考、えられている。 とすれば、遺伝子複製の時の損 傷を最低限にすれば、われわれ は一二〇歳以上生きられるのだ。 (最大寿命と遺伝子の損傷を治 す能力とは相関し、人は最も高 い方である) 難しいことを書いてきたが、 具体的にどうすればよいのだろ うか。 人が老化するのは、血管か免 疫能力が傷害されることに関係 深い。つまり、脳卒中、心筋梗 塞、癌などという形で老化は明 らかになる。これらを防ぐ試み をすればよいのである。 ねずみにおいては、摂取カロ リーの絶対量を減らすことが最 大寿命を延ばすことが知られて いる。人においても、カロリー の制限は様々な病気を予防する であろう。ただ、ここで注意し なければいけないのは、減らす のはカロリーのみで、ビタミン ミネラル、アミノ酸、脂肪酸と いうものは十分にとらなくては いけないということだ。 また、動脈硬化や酸素の毒性 についてでも触れたが、遺伝子 の傷害を防ぐためにも抗酸化栄 養素であるビタミンC、ビタミ ンE、セレン、カロチンは十分 とらなければならない。 最後に、中国では腎から老化 するといわれているように、中 年になるとホルモンや免疫機能 が低下するので、補腎薬である 六味丸などを五十歳前後から飲 むとよいだろう。 幽、ビタミンCを一日二グラ ム、ビタミンEを二百ミリグラ ム程度とることは全ての成人に 勧められるが、カロリー制限は 専門家に相談すること。 ▲・ 菓ごもりに青くまれこし枇杷の 実のここだ明らみ見ゆる梅雨晴 広木葉津乃 那珂川に放ちやりたる川魚の勢 いよく泳ぎ行くを見送る 石井きぬ子 春雷の轟く空のたちまちに雲は のたうつおどろおどろしく 猪野一江 衣更え迎ふる娘にと紅色のジャ バラ買ひ来て制服を縫ふ 大森 久子 ダンプよりぐり石落とす音のし て隣家の工事の人ら声高し 高堀よしの 花絶えし吾が坪庭も漸くに水仙 咲きて暮らし〈なる かつら文芸 遠蛙聞きつつ過去を聞いてゐし 金長 渓舟 老いてなほ傭はれ踊太鼓打つ 仲宮 瓶子 滝音を頭上に行の道険し 桐原 桂花 卜し.り の像に手触れて海霧に仔つ 小林 岳想 桜井 肇 麦畠に香り落とせる桐の花草取 るわが背にまた一つ落つ ど 佐川 あや おさを」 幼孫は焼きコーンの実を両頼に かじ つけつつ馨りゐてその早きこと 杉山みち子 伏せ置ける鉢の中をば住み処と して小鳥は雛を温めつつ居り 宮本ふみ江 風そよぐ早苗の縁日を経つつす がすがし朝あさ楽しみみつむ 山形 式妙 納屋内に積める茶の菓のうすみ どりうす暗がりに光りを放つ 綿引 栄子 青麦の穂をゆらす風に吹かれつ とお つ杏きひとつの別れ思ひぬ 渡辺千妙子 農継がぬ息ばかりのため仕方な く畔塗りをすと愚痴る老い友 小林 忠之 以上文化協会文芸部会員作品 「あいさつは,笑顔をそえて心から」

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