広報じょうほく No.452 2000(平成12)年 1月
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私は、わら細工で作られた「正 月飾り」に魅せられて、その制作 に力を入れるようになりました。 一緒にものづくりをすることか ら、よりよい人間関係が生まれま す。家族一緒に、スポーツに旅行 にと楽しむ機会が多くなってきた とはいえ、ものづくりに関しては 家族別々になっているように私の 目に映るのはとても残念です。お 母さんの手芸力、お父さんの製作 力、子供たちの自由な発想等々と、 それぞれ得意な力を出し合って、 一緒にまとめあげていく。そんな 中に、家族や友達との語らいがも カれ、親密な人間関係ができるの ではないでしょうか。そして、そ 作品と加瀬さん こにはよりよい信頼関係が生まれ てくるはずです。 皆さんも「ものづくり」に、家 族等で挑戦してみてはいかがでしょ うか。「わら細工」をしてきた一 人として、その思い等を綴ってみ たいと思います。 -懐かしい思い出を語り継ぐ わら(稲わらや小麦わら等)に は何とも言えないよい香りや保温 力、弾力性等、ビニールやプラス チック製品にないよさがあります。 そうしたわら細工やわら製品のよ さを語り継ぎたいという思いが私 にはあります。 私が子供のころ、近所の友人た ちの家に遊びに行くと、決まって その家のおじいさん やおばあさんが、日 当たりのよい縁側で 純ないや俵あみをし ていました。私の家 も例外ではなく、そ んな光景をよく目に したものです。また、 遊びにしても虫かご やわら刀等を子供な りに工夫して作って、 虫捕りやちゃんばら ごつこに利用して遊 び、育ったものでし た。これらのことは、 今は懐かしい思い出 ですが、幼きころの思い出は決し て消えることはないのです。皆さ んも懐かしい思い出がたくさんお ありだと思います。そんな思い出 を今の子供たちに語り継いでほし いのです。 2 物を大切にする心を育む 私はわら細工を通して、物を大 切にする心を子供たちに育てたい と願っています。 昔は農家にとって「わら」はと ても貴重なものでした。畳、わら じ、みの等の生活用に、縄、俵、 こも 菰、堆肥等の農作業用に、わら人 形や虫かご等の遊具用に、更には 防寒、防風、防霜や燃料等の素材 としてあらゆるものに役立ててき ました。 物が豊富にあり、経済的にゆと りがあり、簡単にものが入手でき たとしても、製作者の心労や材料 の大切さを考えれば、「物を大切 にする心」を育てなければならな いと思います。これらのことを 「ものづくり」を通じてわかって ほしいのです。 3 喜びと手作りのよさを味わう 手作りのよさと完成の喜びをぜ ひ味わってほしいものです。 「失敗は成功のもと」と言いま すが、一つのものを完成させるに は、大変な努力と忍耐が必要です。 一つのことに何回も挑戦し、完成 させたときの喜びは何事にもかえ がたいものがあります。その喜び が、また次のものづくりや生活す る力の原動力になっていくのでは ないでしょうか。 子僕に根気がない、挑戦力がな い、創造力がないと言い切ってし まう前に、私は「ものづくり」の 基本をきちんと敢えてあげること を皆さんにお勧めします。 まず、取り組んでみることです。 一つ完成させたことから、次のも のづくりのイメージ、創造への意 欲が必ずわいてくるものです。無 から有は決して生まれません。ま た、手づくりのよさも味わってほ しいのです。 ■し 4 ものを作る楽しさを味わう 私は今、「正月飾り」(わら細工) づくりに没頭しています。 ものづくりは、手間と時間をか けてつくる行為で、そのものが楽 しいのです。最初は「遊び心」で 始めるとよいのではないでしょう か。 作る過程を楽しんでいれば、い つかは見栄えのする作品が仕上がっ てくるものです。それが機能性や 使いやすさをもつ作品づくりにつ ながります。それから生活に生か していける「ものづくり」を考え ていったらよいと思います。また、 作品は生活に役立てるばかりでな く、友人や知人に贈り、役立てて もらうのも楽しいものです。 最後に、「ものづくり」には単 に創造性を高め、作る楽しさ・よ さを味わうだけでなく、ポケ防止 や健康増進にも効果があり、数限 りないよさがあります。 これら、私が「ものづくり」を 通して抱いてきた数々の思いを、 これからも地域の人々に広めてい くと共に、自分らしい作品づくり に心がけていくつもりです。 ◇ ◇ ◇ ※生涯学習課では各種生涯学習情 報の提供や学習相談を行っていま す。ご利用ください。 (m288-6100) 広報じようほく
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