広報じょうほく No.444 1999(平成11)年 5月
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。あまたにて飛び交いおりし燕た ち今朝は見えざり帰りしならむ 。旅に出てひ孫への土産求めし日 娘よりは冬衣届きてありぬ 。再びは筆取ることのあるまじと 思ひしに今書く九十五歳 この短歌は上泉にお住まいの95 歳になられる飯田マサさんの数あ る作品の中の3首です。 飯田さんはご高齢にもかかわら ず、長年にわたって短歌の学習を してこられました。その学習ぶり は生涯学習の鑑と敬服するばかり です。飯田さんに短歌学習等につ いてお話をお伺いすることができ ましたので、その一部をご紹介し ます。 1 日々の生活は、 「息子夫婦や家族に支えられて、 今は自由気ままな隠居暮らしです。 お茶を飲みながら親しい友人とお 話をしたり、好きな短歌の勉強を したりしながら、健康に気をつけ る毎日ですよ」と笑顔でおっしゃっ ていました。 2 短歌を始められたのは 「私が短歌を始めたのは、気ま まな生活ができるようになった80 歳のときからです。はじめはポケ 防止のつもりで始めましたが、今 は短歌を作ることによって自分の 姿を見つめられるようになったん 「短歌作品展」を 開催した飯田さん です。ありがたい ことです」と眼を 輝かせました。 さらに、言葉を 続けて、「もちろん、子供のころ から短歌に興味があったんです。 特に石川啄木の詩歌が好きなんで す。歌集の『一極の砂』や『悲し き玩具』などよく読みました」と 相好を崩しました。 「なかでも、この詩歌が好きな んですよ」とおっしゃると、 へ東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて かに 蟹とたはむる はたらけど くらし はたらけどなおわが生活楽に ならざり と啄木の歌集≡握の砂』の2 首を口づさみ、大変満足そつでし た。 3 短歌の学習のよさは 「たくさんあり過ぎますが、そ うですね、短歌づくりは生活に張 りがでて、今では私の生きがいで す。毎月『花桐短歌会』と『茨城 歌人』等で短歌の勉強をさせてい ただいていますが、すばらしい指 導の先生方や会員たちと心のふれ あいや学習ができて、本当によかっ たと思っているんです」と心の底 からうれしそうでした。 4 最近、特に心に残ることは 「うれしいことに、3月21日か ら28日の1週間、コミュニティセ ンター常北展示コーナーで、『花 ( 桐短歌会』の会員が私の95歳のお 祝いに、短歌作品展を開いてくだ さったんですよ。会長さんをはじ め会月の人たちが、私の20首余り の作品を展示したり、受付をした りしてくださったんです。心から 感謝しています。仲間ってすばら しいですね。このことをこれから の短歌の勉強の励みにしていきた いのです」と、やや興奮ぎみに話 してくださいました。 5 これからは 「すばらしい仲間と共にこれか らも短歌の学習を続けていきたい と思っています。自分の好きなこ とをするのですから‥」とおっしゃっ ていました。 6 最後に 飯田さんの座右の銘は「努力」・ 「忍耐」・「継続」だということ です。また、「皆さんも是非、自 分の好きなことを学習し、続けて いってほしい」と。 飯田さんのお人柄といきいきと した学習ぶりにふれ、私も心の高 鳴りを感じました。 ◇ ◇ ◇ ◇ ※ 生涯学習についてのお問い合 わせは、町生涯学習課去288- 6100)までご連絡ください。 広報じようほく
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