広報じょうほく No.433 1998(平成10)年 5月
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「昆虫の魅力…。それはそれぞ れの昆虫の生態等の不思議にあ るしと言えるでしょう。 生物は、長い年月をかけ複雑に 分化し、それぞれが生活に適応し、 からだの構造や機能などが今なお 変化し発展しています。そうした 生物たちの中でも代表的なグルー プが昆虫類なのです。 t 地球上に生息する動物の種類、 数は正確にはわかっていませんが、 動物全体の4分の3が昆虫である といえます。日本では10万種に達 し、その中でチョウは232種見 られます。私が常北町で確認した のは60種あまりでした。しかも、 毎年昆虫の新種が続々と見つかっ ていますので、近い将来、昆虫だ みんなで生涯学習 t 学習紹介⑳ 「チョウ」の魅力に とりつかれて 「応lれあい塾」講師 仲 山 欣 - けでも100万種に達するものと 予想されています。まさに地球は 「昆虫の惑星Lとも言えます。 数ある昆虫の中から、チョウの 魅力について少しふれてみたいと 思います。 チョウの魅力は、大空を美しい はね 遡をひろげて飛ぶ姿にもあります が、何といっても「チョウのつく り」の不思議にあります。 - チョウの趨のふしぎ チョウの美しい週は飛ぶためで もあるのですが、体温を調節する ためにもあることが学者の研究で わかってきました。 チョウの廻は、胸部の二節(中 胸と後胸)の背中と側面の囁の表 皮がのび、袋状にひろがったもの です。その薄い脈状の中に走る週 ふやく 脈が骨の役目をしているので、形 を保ち、上下に趨をはばたかせた ときに飛ぶことができるのです。 遡脈は種類によって決まった配列 をしていますので「分類」のめや すになると言われています。 L また、体表面横の大部分を占め る4枚の週は体温調節の役割を果 たしています。外気温が低いとき は、太陽に直角に向けて体温を上 昇させ、逆に外気温が高いときや 活動して自らの体温が高いときは、 日陰で週を開いて放熱させ体温を 下げていることがわかりました。 2 チョウの場の粉の不思議 種独特の模様を形づくっている りん チョウの週を冶で持つと、粉(鱗 ぶん 粉・鱗片と言う)が付いてなんと なく気持ちが悪いものです。昔は それが毒だと言われていましたが、 大部分は有毒成分がないことが分 っています。 この鉄粉には脂肪性の物質があ り、水をはじくので雨や夜露を防 ぎ、からだをぬらさない役目をし ています。鱗粉がとれてしまうと 麹が水でぬれ、飛べなくなるばか りでなく体温調節もできなくなり ます。不思議ですね。 3 スタイルを変 ■一不思濃 チョウは日の長きてスタイルを 変えます。これもふしぎなことで 魅力があります。チョウを集めだ したころ、図鑑で覚えたチョウの 紋様が種類を判定する手がかりで した。私はちょっとした紋様の違 いがあると新種かと胸をときめか したものです。 同じ種でも雄と雌では紋様等が /l\ 異なるのは知っていましたが、春 と夏では趨の紋様が別の種ではな いかと思うほど違うもの出会った ときはびっくりしました。例えば、 「サカハナチョウ」は黒褐色の地 色に白い帯が走っていて、漢字の「 八」の字を逆さまにしたように見 えるのですが、春先飛び交ってい だいだい るのは橙色の斑紋が目立ち、黄色 の帯があってサカハナチョウには 見えません。アゲハなどにもこの 季節型が見られ、比べてみるとず いぶん違います。ほかにも、保護 色で身を守ったりするコノハチョ ウのようなものもいておもしろい です。 チョウがどんなものを食べ、ど んな所に住んでいるのかなど調べ るのも魅力があります。 4 おわりに 人間もそうですが、他の動物や 植物なども自然とのかかわりの中 に生きています。 あの美しい日本の国蝶であるオ オムラサキの幼虫が、今、私の庭 の片隅で息づいています9常北町 には、まだまだ豊かな自然が残さ れています。これらの自然を町民 の皆さんと大切に守っていきたい と考えています。 広報じょうほく
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