広報じょうほく No.433 1998(平成10)年 5月
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「山を歩いていて、普通なら蹴 飛ばしてしまうものでも、それを 拾って何かに利用できないかとい う気の持ち方ひとつで、意外なも のが生まれるものです」 藤やアケビのつるを利用してか ごを編んでいる加藤さん。きっか けは、自分の山が荒れないように 下刈り作業などをしているうち、 つるを利用してカゴづくり 下古内 加 藤 鉦 好さん(70) 杉などに絡まっているつたを何か に利用できないものかとはじめた のがきっかけだそうです。3年ほ ど前から作り始め、これまでに2 00個ほどのかごを編んでいます。 「だれに敢えてもらったというわ けでもなく、本を読んで工夫しな がら独学でやっています。作った ものは、ほとんどあげてしまって いるんですよ」と笑いながら話し てくださいました。 「つたは、水分を含んでいると 保存できないので、秋から冬にか けて取ったものを使います。取っ てきてからもすぐには製作にかか らず、少し時間を置いておくんで すよ。それがよい発想につながり ますね」。ほかにも、松の枝を工 夫したペンスタンド、木の根を利 用した置き物や手作りの行灯が飾 編み始めは6本のつるから られていました。「多趣味という か、何にでも興味があるんですよ。 藤井川にいる魚を釣ってきて水槽 で飼ったり、竹で鉢を作って、そ れに山野草を植えてみたりもして います」。そう話しながら、彫刻や これから製作に取り組むというた くさんのひょうたんを見せてくだ さいました。 「かごは、太いつると細いつる の組み合わせや編み方の種類によ って、いろいろな形になります。 また、つるの曲がりを利用し、自 然のままを生かしているので二つ と同じものはできません。編んで いくうちに形が決まることなどし ょっちゅうですよ」と笑いながら 話す加藤さん。これからも多くの 傑作が加藤さんの『趣味の館』か 手プくりの行灯 靴はけば旅行の気分羽抜鳥 飯 嶋 と み 耕転機武者震ひして動き出す 飯 田 勇一 早苗田に田植機の腹擦りし跡 中 村 革 介 かすみ 波荒れて押遣山の春霞 飯 村 愛 子 しぶき つくばいに水飛沫立て春の鳥 長 須 きみの しもく.孔ん 昼過ぎの日のねっとりと紫木蓮 鯉 渕 寿美恵 縁側にたんぽぽ描き眠くなり いそべ き よ もち 草餅や姉妹四人の集へる日 今 瀬 多代美 スキー山いくつひとりで起き上が る 竹 内 幸 子 J∵∵. かりん糖さくっとかんで臆の夜 高 橋 声 江 癒えし目にありがたきかな新樹光 阿久津 あい子 咲き初めし白木蓮に春の雪 菱 木 女江子 春日傘やはらかき色買ひにけり 瀬 谷 博 子 広報じょうほ<

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