広報じょうほく No.425 1997(平成9)年 8月
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0157とは 日本では1990年に、埼玉県 浦和市の幼稚園での集団発生で大 腸菌〝0157〞という名前が知 られるようになりましたが、病原 性大腸菌ロ157による集団食虫 毒は、1982年にアメリカで初 めて確認されました。比較的新顔 の大腸菌で、このときは、ハンバ ーガーチェーン店のひき肉が感染 源と判明しましたが、0157の 研究そのものがまだ日が浅いとい うのが現実です。 こわい〝ベロ毒素∬ 0157の最大の特徴は猛毒 〝ベロ毒素〞です。0157その ものは抗生物質で退治できるので すが、この菌は、体内に入ると他 の下痢性大腸菌と違って、菌が死 滅する前に、赤痢菌に類似したベ ロ毒素を放出するのです。 0157は腸粘膜の毛細血管を 侵して激しい痛みと出血性下痢を 起こさせ、ベロ毒素が、腎臓や脳 に大きな障害をもたらし、死に至 らしめる場合もあります。 今のところベロ毒素に対する有 効な手立てはなく、ベロ毒素がひ き起こす溶血性尿毒症症候群(急 性腎不全など)には、人工透析や 血しょう交換をするなどの対症療 法が中心となっています。 0157のもう一つの特徴は、 少量の菌で感染すること。サルモ ネラ菌や腸炎ビブリオ菌などは百 万個以上の菌を摂取しないと感染 しませんが、0157は数百個ほ どでも発症します。 加熱と手洗いで 予防できる 感染ルートはまだわかっていま せんが、感染は口からということ はわかっています。 また、熟に弱いという大腸菌の 特性は0157でも例外ではない ので、食中毒予防・の基本ともいえ る、熟で菌を死滅させることと、 手からの感染を防ぐということに つきます。 ●万一出血を伴う下痢を起こした場合は ●感染を予防するための注意 (∋食品の保有、運搬、調理にあたって、衛生的に取 り扱い、汚染が心配されるものは十分に加熱する。 レバー 等食肉の生食を避ける。 (∋すぐ、医師の診断を受け、二階示に従う。乳幼児は とくに注意が必要。 ②患者の便を処理するときは、ゴム手袋を使用する など、衛生的に処ヨ聾する。患者の便に触れたとき は、逆性石鹸(薬用)や70%アルコールで消毒し、 (∋食品を扱う際、手や調】翌器具をj充水で十分洗う。 流水で十分に洗い流す ③飲料水の衛生管理に気をつける。とくに井戸水や 受水槽の取り扱いに注意する。 (∋患者の便を処理するときは、ゴム手袋を使用する。 家族のものとは別に洗濯して、天日で十分に乾かす。 9 広報じようほく
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