広報じょうほく No.360 1992(平成4)年 4月
16/20

しき ふゆげ 冬、景 色 文部省唱歌「冬景色」は、 大正二年の 『尋常小学唱歌 (五)一』で掲載されました。 この歌は、発表当時から現 在に至る教育課程の変化にも かかわらず、いまもなお、小 学校の歌唱共通教材として広 く愛唱されている作品です。 たしかに、詞の内容は趣の 深いものですが、子どもには なじみにくい古風な文語体で 善かれています。 ふなとえ さ謬消ゆる添江の 舟に白し 朝の扁 ただ水鳥の声はして いまだ覚めず 岸の家 また、曲の調べも一見単純 に思えるこの歌が、なぜこの ように長く歌い継がれてきた のでしょうか。 その魅力の一つは、初冬の ありふれた田舎の情景を描写 した詞が、流れるような三拍 子の美しい旋律を得て、曲全 体としてやわらかい冬の色合 いを醸し出している点にある と思います。 なかでも、岸辺の朝の風景 をうたった第一節には、極め て味わい深いものがあります。 夜から朝に移り変わる安ら ぎのひととき、水面を渡って くる鳥の声に知覚のすべてが 集まります。 その一瞬によって、改めて 朝の静けさに気づき、その透 明感が強調されるのです。 描写のなかに唯一動きが感 じられる 「ただ水鳥の声はし 作詞 未 作曲 末 て」 の部分で、音は最高音に 達します。 歌に動きを与えるこのふく らみの部分が、歌のもつ情趣 をより深いものにしていると 思われます。 歌うと不思議に澄んだ気持 ちになるこの作品は、童心や 望郷の念を自然に心の内に呼 び戻してくれる代表的な唱歌 の一つといえるでしょう。 佐野 靖 (東京芸術大学助教授) 世界中でイカを一番よく食 べるのは、日本人だといわれ ています。 イカには、いろいろな種類 がありますが、家庭料理に使 われるのはヤリイカ、スミイ カ、そして「するめ」 の材料 にするスルメイカが主なもの でしょう。新鮮なイカは刺身 このとき、滑り止め W として指先に塩をつけ ると、むきやすいでし ょ、つD 皮が残ったときは、乾いた ふきんでつまむようにしてむ き取ります。 薄皮は、表皮の厚い皮をむ いた後、ナイロン・ネットを 丸めてこすると楽に取れます。 特に、てんぶらにするとき んペら」といわれる三 角の帽子の部分を、引 きちぎるようにして胴 体からはがします。 そのとき、胴の皮が 一緒についてきますか ら、そこから一気に皮 をむきます。 にしても、焼いても、てんぶ らにしてもおいしいものです が、やっかいなのは皮むきで す。ヌルヌルしていて、てこ ずります。 イカの皮は4層ありますが むくのは上層の表皮です。 ていuい 丁寧にむくときは、その下 にある薄皮も取ります。 イカを開いて皮をむ くのですが、俗に「え イカの皮むき には、薄皮が残っていると油 が飛んで困りますから、丁寧 に取っておきましょう。 イカを焼くとき、クルクル と丸く縮まって困ったことは ありませんか。焼く前に、イ カの哀と裏に包丁で切れ目を 入れるのが丸まらないコツで 滑り止めに塩をつける すが、適当に入れれば いいというものではあ りません。 イカの皮の3層呂は、 繊維が構に、4層目は 縦に通っています。 繊維に必ず切れ目が 入るように、「格子型」 に縦と榛の2方向から 包丁を入れます。 こうすれば、繊維が 切れてイカは丸まらず 食べやすくなります。 広報じようほく

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です