広報じょうほく No.358 1992(平成4)年 2月
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考えてみたいと思いま す。私は仕事も含めて 年間の半分以上を、全 国津々浦々のまちに出 かけています。そんな 旅行の途中で、電車や バスの中で隣り合わせ た人に声をかけること にしています。その人 のふるさとの話を聞き たいからです。 ところが、自分のふ るさとを自慢して語っ 新しい年が始まりました。 年末年始を、ふ竃さとで過ご された万も多いと思います。 そこで、ふるさとについて てくれる人は、極めて少ない のです。大きなまちに住んで いる人は、ためらうことなく まちの名をいいますが、これ が小さな村だと口ごもり、近 くにある大きなまちの名を答 えてごまかしてしまうのです。 日本ふるさと塾主宰・萩原 茂裕 供たぢを育ぞそ拍るか 悲しいことだと思わざるをえ ません。 村民のみんなが スキIを習った 長野県に野沢温泉村という 人口4千800人余りの小さ な村があります。この村につ いては前にも触れましたが、 ふるさとを 愛する心をはぐくお ぐ 0 N ヽ 村おこしの材料として、村民 たちが力を合わせてスキI場 を作ったことで知られていま す。そして、自分たちで作っ たスキー場を、そっくり村へ 寄付し、村営のスキー場とし ました。これが予想もしなか った成果を上げ、いまや日本 二塁かな村だといわれるよう になりました。 いや、野沢温泉村の素晴ら しいところは、その次のステ ップでした。村民のみんなが スキ1を習ったのです。とり わけ子供たちに、徹底してス キーを教えました。これは、 よそではなかなかできませんQ スキー場があっても、ふもと に住んでいる人は、スキIの できない人がたくさんいる所 が多いのですから。子供たち にスキーを教えた結果、この 村にはオリンピック出場経験 者が8人、ワールドカップ世 界選手権に出場した人たちが 約20人、そして、さまざまな 競技会のタイトルをもった人 たちが、90人以上もいます。 人口比率でいえば世界一だそ うです。 子供たちの顔が 輝いて見える 野沢温泉村に行って驚くの は、子供たちの顔が生き生き と輝いて見えることです。 「きみは、この村が好きです か?」と尋ねると、どの子供 も、「ハイ、この村がいちば ん好きです」と、さわやかな 答えがすぐに返ってくるので す。どんなに小さな村でも、 何百年、いや何千年の歴史が 培ってくれた風土があるので す。どんなに人口が少なくと も、日本に一つしかないのだ と、子供のころからふるさと を愛する心をはぐくむことが、 真のまちづくりの原点になる のだと思います。 ほかのまちにはマネのでき ないふるさと---堂々と胸を 張ってその名をいえるように することが、いまこそ必要な 気がしてならないのです。 ( しも度し・り 霜柱しかと踏みしめ野に出で し 竹 林 静 子 きり 我が行〈手のみの道なり霧の 谷 中 千 里 つそ圭ぐら かご 山がらの籠一つ吊り柚暮し 永 田 水瑛子 こんにゃく そまはたふななな 萄萌を掘る仙の畑皆斜め 小 林 幸 子 お てう・エ いち上う き ば 御手植の銀杏の黄葉のかがや 飯 村 のぼる かに 刊椙の輌にまつはる夕煙り 宇 野 英一 おぴそこぎりじごくだに 帯のごとなる底霧の桐 原 桂 花 くきつ おも 茎漬くる石の重きよ母を恋ふ 荒 井 頑 雨 かたすふおむと 荒れ果てし庭の片隅万年青の 木 村 千 代 矢 ふ噛もず 冬場のあるときはまたひそや かに 大 畑 とみ子 おくかも 翻淋加倉井 峰 雪 あいよ ふゆもず 冬場や天に相寄る十七戸 小 野 草葉子 ふれあい俳句 広報じようほく 6

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