広報じょうほく No.355 1991(平成3)年 12月
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作曲者の本居長世は、古事 記伝で知られる江戸時代の国 学者、本居宣長の子孫にあた ります。 大正期の童謡運動に参加し、 日本の伝統的な音楽要素を極 めて効果的に取り入れた作曲 家として知られ、ヨーロッパ 調の長音階で善かれた土の曲 のなかにも、伝統的色彩が色 濃く表れています。 例えば、 くんだよ」 切花苛つな 七 つ の子 d滑憎く偶選感 からす ・・ 「鳥は山に」 「時 の部分。ともに、 な 作詞 野 口 雨 情 作曲 本 居 長 世 ラドレという典型的な民謡音 階が用いられています。 また、曲全休を通してみら せんりつ れるわらべうた風の旋律の動 きが、独特のやわらかさを生 み出しています。 このささやかな、しかし気 づいてみればいかにも日本的 なものを感じさせる音の仕組 みが、「七つの子」 の魅力と なっているのです。 また、この曲のもう一つの 魅力が詞にあります。 詞から自然とにじみでてく る、ほほえましさやあたたか さ ー これは、童心の詩趣を もつ、雨情ならではのものと いえるでしょう。 親からすの、子からすによ せる心情を映し出すことによ って、また、「可愛い」とい う素朴な言葉を響き合わせる ことによって、見事に表現さ れています。 以前、七つの子とは、七羽 の子か、七歳の子なのかとい うことが物議をかもしました。 しかし、このようなことは 親子の愛情の世界を情感豊か に歌い上げたこの詞の前では ・㌧ 何となく他愛のないことのよ うに思われてしまうのですが いかがでしょうか。 佐野 清 (東京芸術大学助教授) 遠望の水のきらめきみんな鮭 今 瀬 剛一 葉のすべて落ちて色増す木守 加 藤 鉦 好 柿 母の手も父の手もあり七五三 中 村 草 介 初冬や水がとらへし畳の月 片 見 博 水門を重たく閉じる冬の潮 鈴 木 きよし 水の面の暮色あつめて鳩浮か 原 ぶ 勝 男 焚火して身の芯までもゆらぎ けり 杉 木 輝 夫 竹伐りて竹の重さに負けにけ 水音の中落鮎を味嗜仕立て 鯉 渕 寿美恵 子等砂にまみれて遊ぶ菊日和 高 橋 芦 江 さらさらと芋茎かはきて秋日 阿久津 あい子 四方山の話しに夢中草紅葉 飯 嶋 と み とんねるを抜けて明かるきた はぎ ぬき稲架 長 須 きみの 藁ぼっちけむいけむいと涙ふ く 磯 部 き よ 友葬り釆て山茶花の散りやす し 羽 石 次 枝 大辞典割って文字見る文化の 日 桧 山 よ て 草の名を知るぜいたくも花苦 安 藤 沙都子 つやつやと圃き栃の実拾いけ り 瀬 谷 博 子 日本酒の五臓にしみるそぞろ 渡 辺 典 子 寒 白い息からみ合いつつ朝の駅 浅 野 菊 枝 り 小田木 梅 口中のミルクふんわり遠紅葉 鶴 見 弘 子 つま 流れ星夫に小さな隠しごと 袴 塚 末 子 冬蔦を風いくたびも駈けのぼ り 吉 本 つる代 まつ つ ぼつぼつと黄菊を摘めり長陳 竹 内 幸 子 毛 ひらひらと疲労濃くして鮭戻 る 飯 村 愛 子 やまゆり荘休館日 年末隼灘の休部川として 、ド戌3年l㌫=崇‖=川かご) 、ド成4年1‖41t=まで お休みさせていただきます.. 広報じょうほく
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