広報じょうほく No.335 1990(平成2)年 6月
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巷つがす入 山々は重なり村は夏霞 猪野はるい 日がさして起伏ひろびろ新茶村 今瀬 剛一 了き圭 晩霜のくるらし衿に隙間あり 加藤 鉦好 わた たんぽぽの累の群るるを横切り ぬ 片見 博 半ズボン妻に似てゐる膝小僧 鈴木きよし エプロンの似合ふ要をり豆の花 中村 草介 うくいすの里所見 指導・ホトトギス同人 小 野 草葉子 展観あ齢 俳句敬重 ろうやっかそ 老鴬の声のみ村は過疎深む 永山 綾乃 人を恋ふ如く老鴬しきりをる も 小堀 林三 谷渡るとき老鴬の声弾む 森島 保子 落花舞ふ如くに谷の蝶もつれ 安藤美恵子 鴬にあるとき憩ひ今日の行 木村 千代 てんかい 天界に吹くゆえことに風薫る 丹下やゑ子 山吹の揺れを残してバス過ぎぬ つ 宇野 英一 花あけび寺参道は水に沼ふ 原 勝男 鈴の音とまがふ水音藤の花 高橋 芦江 どっと射す光りにまみれ朝寝か な 飯村 愛子 葉桜とをりて歩巾をやや広く 阿久津あい子 風の夜は必死に咲けり白牡丹 小田木 梅 し屯人一一う 春耕の済みたる夜は長湯せり 桧山 よて 屋根替えを見てゐる人も汚れけ り 浅野 菊枝 すかんぽの茎のくれをゐ透き恋 羽石 次枝 いち ダムを落つ一水音も夏に入る 宮本 泰子 つゆ 梅雨近き雲天界のゴルフ場 桐原 桂花 しんビカ 光り満つ新樹に風の立ちしとき 須江 君子 風の患にまかせて谷の藤の花 永山 とみ ふじ・ヒ一血 せせらぎの音の中をる藤落花 荒井 嶺雨 鴬の里とは君の住める里 河亦 昌利 l王台 日輪に背を向け朴の花終る 小野草葉子 ㍑る〓い 春肥をていねいに撒く風のあと いそペきよ 右投げて対岸の声そよぎけり 瀬谷 博子 ガラス戸にひびゐて雷の過ぎに けり 長須きみの L-人ゆ 筍を茹でて明日は日曜日 大畠 三重 新緑の奥より生まれ釆たる風 袴塚 末子 ▲、1・▼▲\ 胸奥のすっきり晴れて岩つばめ 飯嶋 とみ 若葉光中国の書を読みゐたり 安藤沙都子 梨の花すでに夏毛の小鳥たち 吉元つる代 l≡二l≡≡_二≡≒≡隻≡∈ヨ≡⊆⊇≡iヨニ⊆∃≡一_≡i一≡隻≡一≒≡隻≡一考≡一隻喜き≡-事≡-∈ヨ≡i≡≡■一≡lt三≡’≡隻≡一隻≡∈∃≡iヨ≡E 号音の履歴書 こ う も り 傘 梅雨の間の外出には、「こう もり(煽焙)傘」が手放せませ ん。開くとこうもりが巽を広げ たように見えるのでついた名称 で、携帯用の折り畳み傘だと、 さかさまにぶらさがった姿が連 想されます。 竹の骨の油紙から成る和傘と 違って、西洋伝来の傘は金属製 の骨に茶や黒の布を張ったとこ ろが、こうもりに似ていたわけ です。明治初年のこうもり傘は、 文明開化を象徴するものの一つ でした。 わが国の庶民は雨や雪を防ぐ のに、蓑(みの)を着たり笠を 紅つつじ満開の日を父が癒え 竹内 幸子 整地後の田の面すれすれ夏つば ( 鯉渕寿美恵 (城北句会遠〉 かぶったりしましたが、江戸時 代の初期から傘をさすようにも をりました。はじめに流行した し′ のは蛇の目傘です。 「蛇の目」は太い輪で蛇の目 を表現したもの。日本の紋章の なかでも、単純化の極地ともい うペきデザインです。 雨傘の場合は、中央部と周辺 の輪を紺や赤、中間の輪を白く 抜いたものが多く用いられまし た。 和傘は蛇、洋傘はこうもり。 ペットになりにくい動物の名で 親しまれてきたのは、ちょっと 不思議を気もします。 今月の善意の花 広報じょうほく
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