広報じょうほく No.300 1987(昭和62)年 9月
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S君は中学一年生一雪頭痛を訴えて学校を休んだり、祖母と衝突することが多くなり、母親は心配して数か所の病院で受診させました。検査をしても異常はないのに、症状は悪化するばかりで、途方に暮れていました。そのうちに微熱が出るようになり、学校に行かなくなったのです。某大学病院に入院しましたが不明熱という診断でなんの解決にもならず、思いあまって心身医療科の門をくぐったという次第です。S君は、一見色白で太り気味。この年令にしては活発さが足りない感じで、妙に母親にべたついて依存的なのが印象的です。中学生くらいになると、母親を敬遠するのが普通なので、私は初対面のときからこの態度が気になりました。病気の背景を探ってみると、初診のときの直感が適中し、S君の症状は、ストレスからの回避と母親への依存欲求に起因することがわかったのです。それも家族関係の病理に根ざしたものでした。S君は三人兄弟の二男。成績は悪いが、気は優しく無類のお人よし、兄は優秀で有名な私立高校に通い’一一口遍学I家族病としての心身症成績もよ唆湾六歳隼.下の弟峰まだ勉強のことなど無関係で、末っ子として甘やかされ、わがままいっぱい。父親は東.大病で成績のよいことしか評価せず、長男を偏愛するという仕事中心人間。S君には小言をいうか、無視するかで、ダメ人間というレッテルをはっている。母親は、良妻賢母型の数育ママ。優しいのだが、理知的で厳しく、S君はこれまで甘えた記憶がなかった。素直にいいつけを聞くことで点数を稼ぎ、ほめてもらうしかなかったのです。成績が悪いなどで、S君は家の中でも肩身の狭い状態でした。頭痛が始まったのは、期末試験の一カ月前ごろからでした。S君には試験が頭痛を起こすほどのストレスになっていたのです。また、時を同じくして、父方の視母が同居するようになって、ことごとく母親に意地悪をするのです。S君が祖母と衝突して乱暴な言動をする裏には、母親を守り、母親にほめられたいという欲求があったのです。S君は弟が誕生したころ、夜尿などの症状で両親の手をやかせたことかあります雪以上のような、家族内の精神的動きに病根があることが判明した結果、私は家族全体を治療の対象としました。S君個人に働きかけても、病気の解決にはならないので、家族の人間関係や家族システムを改善するような治療、家族療法をしたのです。近年はこのような家族の病理に根差す病気が増えています。(国保新聞から)24時間開業医がおとどけする健康テレホンサービスどうぞご利用ください。電話0298-22--2600^茨城県保険医協会言索の履歴書いざよい「中秋名月」といえば陰暦八月の「十五夜」・「月々に月見る月は多けれど、月見る月はこの月の月」と歌われた「この月の月」とは、中秋名月のことです。陰暦では、毎月十五日の月は満月と決まっていました。以後は一日ごとにだんだん欠けてゆき、また夜ごとに月の出が遅くなります。「十六夜」つまり陰暦十六日の月が「いざよい」と呼ばれるのは、出そうで出ない月が、ためらっているように見えたからで、古くは「いさよい」と濁らないで用いられました。島崎藤村の「千曲川旅情の歌」に「・…・・河波のいざよう見れば、砂まじり水巻き帰る」とあるように「いざよう」は進もうとしてなかなか進めず、とどこおりがちなさまをいいます。十七日の月は十六日よりもずっと遅く出るので、立ったまま存つ「立侍月」、十八日は座って待つので「居侍月」、十九日は横になって痔つので「寝待月」と呼ばれました。昔は月とのつきあいが、現在では考えられないほど深かったのです。広報じようほく-416-9月のテーマ』人水オ金-E狭心症と心筋梗塞(その1〉五十肩「自律神経失;月【女性に多い低血圧症コンタクトレンズで注意すること奇は万病のもと症」とは?10月のテーマ月火水木金土・日狭心症と心筋梗塞(その2発育期のスポーツ障害シリーズI小学生発育期のスポーツ障害シリーズI中学生発育期のスポーツ障害シリーズⅢ高校生妊娠中の性生是包茎
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